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採用ゼロで月100時間。バックオフィスを消した事業会社の経営判断

採用ゼロで月100時間。バックオフィスを消した事業会社の経営判断

採用難が深刻化する中、管理部門に専任を1名補充するだけで年間コストは700万円を超える。しかし従業員180名の事業会社の中には、採用ゼロのままバックオフィス工数を月100時間削減し、既存スタッフの業務密度を下げることに成功した会社が出始めている。

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その答えはAI BPO(=生成AIを活用した業務プロセスアウトソーシング)にある。本稿では、経営判断として「バックオフィスを消す」決断をした企業の実例と、その意思決定プロセスを解説する。

「採用で解決」という選択肢が機能しなくなっている

事業会社の管理部門で最もよく起きる課題は、「人が足りないから採用したいが、採用できない」という二重詰まりだ。

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求人を出しても応募が集まらない。集まっても定着しない。管理部門の専任は市場に少なく、採用コストも一人あたり100〜150万円かかる。ようやく採用できたとしても、オンボーディングに3〜6ヶ月を要し、その間は既存メンバーの工数が逆に増える。

従業員180名の地方食品卸A社では、この状況を2年間繰り返した。経理と労務で計3名のポジションを埋めようとしたが、採用できたのはのべ1名のみ。残りは業務委託で凌いでいたが、品質が安定せず、引き継ぎコストが積み上がるばかりだった。コアネストの見立てでは、採用に固執する事業会社ほど「人依存の業務構造」をそのままにしており、根本解決が遅れる傾向がある。

AI BPOで月100時間を削減した具体的な中身

A社が実施したのは、「どの業務をAIに渡し、どの業務は社内に残すか」の業務仕分けから始まる再設計だ。

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削減した月100時間の内訳はおおよそ以下の通りだ。経理業務(請求書入力・消込・仕訳チェック)で約40時間、労務業務(勤怠チェック・給与計算補助・入退社手続き補助)で約30時間、営業事務(受発注処理・見積書作成・書類整理)で約30時間。いずれもルールベースで判断できる定型業務であり、AIとの相性が高い領域だ。

重要なのは、削減した100時間をゼロにしたわけではなく、既存2名のうち1名が戦略系業務にシフトできたことだ。採用を1名分削減できただけでなく、社内に残った人材の仕事の質が上がり、離職率も改善した。AIを入れることで「人が要らなくなる」ではなく「同じ人数でより高い仕事ができる」設計が正解だ。

経営判断として「バックオフィスを消す」前に確認すること

この判断を経営レベルで正しく下すには、3つの確認が必要だ。

第一は、業務の棚卸しが完了しているか。「なんとなく忙しい」では話にならない。月次で何時間、どの工程に費やしているかを業務単位で可視化しなければ、AIに渡せる業務とそうでない業務の切り分けができない。

第二は、コントロールを失わない設計があるか。AI BPOは外部への業務委託でもある。情報セキュリティの観点から、どのデータをどの範囲で扱うかを契約と設計の両面で固めておく必要がある。

第三は、経営層がスコープを決める意思があるか。AI BPOが失敗する最大の原因は「現場に任せた」経営判断だ。どの業務を切り出すかは経営の意思決定であり、現場の判断に委ねると中途半端な設計になる。

ただし、全業務を一括でAIに渡そうとするのは禁物だ。典型的には3〜4業務から始め、月1〜2回のレビューサイクルで精度を確認しながら拡張するのが安全で効果が高い。

投資対効果を「採用コスト」で測り直す

月100時間の業務削減を金額換算すると、時給2,500円換算で月25万円、年間300万円の価値になる。さらに採用1名分のコスト(採用費100万円+年収600万円)を回避できれば、実質的に年間1,000万円近いインパクトになる。

ただし、この数字は業務設計の質に大きく依存する。棚卸しが甘ければ削減幅は半分以下になり、ROIは大幅に下がる。AI BPOの投資対効果は、AIの性能ではなく、業務設計の精度で決まるというのがコアネストの一貫した見解だ。

自社のバックオフィスのどこに100時間が眠っているか。まずその可視化から始めることが、採用ゼロで工数削減を実現する第一歩になる。無料診断では業務棚卸しの支援も行っており、現状の業務構造から削減可能な工数を試算することができる。

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